桜が咲き始めてきた。
桜を見ると、去年の今頃、大学病院の満開の桜を見ながら、初めての抗がん剤を受けに通ったことを思いだす。
桜はさいている期間が短いので、記憶と強固なセットになりやすいと思う。
桜を見ながら、来年の今頃は笑っているかなーと思ったりしていた。
なんとかけっこう笑って暮らせている。
抗がん剤を始める時に「かつらを用意するように」言われた。
大学病院併設のクリニックのビルの一階に、スヴェンソンがあった。
クリニックから直行である。ウィッグなんて、手に取ってみるのは初めて。
値段を見て、ぶ飛んだ。安くても10万はする。ちょっといいかな、と思うと20万以上。
今思えば、すぐに脱毛するわけじゃないから、もうちょっと他を見てもよかったかな、と思うが、その当時は全く気持ちに余裕がなかった。
それと、周りにカミングアウトしないつもりだったので、絶対にばれないクオリティが必要だった。
結局、一番その当時のヘアスタイルに近いウィッグを購入。24万円だった。
スヴェンソンはさすがのクオリティで、カツラと教えると「え?え?えー?!」っと驚かれる。アフターサービスもとてもいい。スタイルの調整のカットもとても上手だ。
抗がん剤を投与してから数週間後、ある日突然脱毛は始まった。
髪をつかんで軽く引くと、ズルズルっと抜ける。
髪を洗うと排水溝にごっそりたまる。
それをみると「うあああ〜」と思ってしまうのと、部屋中に髪の毛がいっぱい落ちているのがいやで、即、翌日に、スヴェンソンで全刈り上げてもらった。
まだらになったり、えりあしだけ残っているのを見るより、さっぱり切って、せいせいした。
この辺は人によって、感じ方が違うらしく、
「抜けるの見るのはショックだから、刈っちゃった方がいいよ」
と、いう人もいれば、
「刈ると短い毛が抜けて、ちくちくささるから止めた方がいい」
と、いう人もいる。
私は断然、すぐに刈る派。ちくちくも気にならなかった。
その方がカツラもかぶりやすいし。長い毛が何週間もズルズル抜ける方が精神的にキツいかなと。
髪の毛がなくなって、色々と不便なこともあったけど、それより困ったのはマツゲだ!!
眉毛は描いてしまえば、意外と困らないが、マツゲはないと顔がしまらない。
とたんに顔が変わってしまった。
あと、ゴミが入りやすくなり、しじゅう涙が出てきて、化粧がとれてしまう。
後半はほとんどノーメイクを余儀なくされていた。
はー、マツゲって目立たないながら、いい仕事してたんだ〜と、妙に感心してしまった。
涙目は、マツゲのせいだけではなく、ドセタキセルの副作用もあったと思う。
いまだに涙目気味です。
マツゲが一番なくて困る、と、同じ乳がんを経験している知人に話すと、いいものを教えてくれた。
「リヴァイタラッシュ」という、アメリカ(?)のマツゲの育毛剤だ。
これを開発したのは眼科医で、奥さんがやはり乳がんだったそうだ。
目の治療に使う薬の副作用でマツゲがのびる人がいるので、この薬を奥さんのために作ったそうな。
知人のマツゲは、付けマツゲかと思うくらいばっさばさになっていた。
抗がん剤終了とともにせっせと塗り始め、2ヶ月くらいで生え始めた。
その時の嬉しさったらない。眉毛も生えてきた時は、めちゃめちゃ嬉しかった。
もう、形とかどうでもよくて、「あるだけでいいのよーっ!愛しい!!」と感激した。
リヴァイタラッシュはネットで購入。アメリカから来るので、2週間くらいかかった。
一万円前後する。あまり安いと、偽物ということもありそうだ。
その後、ハーセプチンや免疫細胞療法でビンボーになってしまい、使っていない。
知人のようなバサバサまつげを目指す方には、おすすめします。
髪の毛は、抗がん剤終了から半年たって、現在、ベリーショート。
鶴見しんごくらい。まだ、カツラは手放せません。寒いしね